ところで、この「浅茅が宿」を読んでいると違和感を覚える。
勝四郎の身勝手さにより、愛妻である宮木を失っている悲し みに、何故か強引に「手児名」を結び付けている感がしてな らない。 【万葉集】 「人みなの言は絶ゆとも埴科の石井が手児が言な絶えそね」 「東路の手児の呼坂越えかねて山にか寝むやどりはなしに」 と、手児とは男に愛嬌よくする女であって、旅人を泊めるように 云わば、遊び女が「手児」であったようだ。何故に貞淑である 「宮木」と、遊び女である「手児名」を結び付けようとしているの だろうか? 以前「宮木が塚」をした時、やはり「浅茅が宿」と「宮木が塚」で、 何故に”宮木”という女性が登場するのか?とやった。 時代的には「春雨物語」よりも「雨月物語」の方が古い。しかし、 「雨月物語」の「浅茅が宿」に登場する宮木は貞淑の鏡のような 女性であるのに、「春雨物語」の「宮木が塚」での宮木は遊女で あった。しかし、これを結び付けるのは「手児名」という存在になっ てしまう。 つまり「雨月物語(浅茅が宿)」はある意味「春雨物語(宮木が塚)」 の序章とも捉えられる可能性はあると思う。また、それと共に、上 田秋成の”宮木”という女性に対する想いがあるような気がしてなら ない。。。。
by stavgozint
| 2009-06-13 19:15
| 「浅茅が宿」
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