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「白峰」展開部3

沙石を空に巻上ぐる。見る見る、一段の陰火、君が膝の下より
燃上がりて、山も谷も昼のごとくあきらかなり。光の中につら
つら御気色を見たてまつるに、朱をそそぎたる龍顔に、荊の髪
膝にかかるまで乱れ、白眼を吊りあげ、熱き嘘をくるしげにつ
がせ給ふ。

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この深い闇の黒の情景に、鮮やかな炎という赤が浮かびあがる。
深い怨念の闇という黒色に浮かび上がる、復習という情熱の赤色
を示す崇徳上皇の情景だ。

こうして見ると、穏やかで美しい情景の色彩描写をして白峰へと
辿り着いた西行を待っていたのは、月の明かりも届かない常なら
ぬ山の深さと、崇徳上皇の心の闇の黒色に加え、激しい怨念の赤
色という色彩だった。

これが最後に西行の一言で我にかえる崇徳上皇に、白々明ける夜
明けという白色に白峰の白がかぶるのかもしれない。

これを舞台で上演すれば、見事な色彩の舞台になると思われる…。
by stavgozint | 2008-04-15 21:17 | 「白峰」
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