「青頭巾」終焉(其の三)

禅師の示した「江月照松風吹 永夜清宵何所為」とは「証道歌」という、
唐の永嘉玄覚大師(665~713)が禅の要諦を一種の詩の形で端的
に表現した古典であり、その内容は自然との対話みたいなものである。

ところでマーラー「大地の歌」に使用された詩は、王維、李白、孟浩然
という、やはり自然との対話など、自然詩と呼ばれるものを作り上げて
きた人物達で、とりわけ大地の歌の六楽章で使用された王維は、自然
詩人の中でも際立った存在だ。

時代的にも7世紀後半から8世紀にかけて活躍してきた人物達である
から、証道歌の時代とも同じである。要は、中国の唐代にこういった自
然との対話を詠うものが流行っていたのだろう。マーラーはこの唐代の
詩人達の詩に感動し、感銘を受け、曲に現した。

マーラーの作曲の根底には”死への不安と生への渇望”が織り込まれ
ている。そして「大地の歌」ではその帰結を、自然との同化として現して
いる。悲しみが深ければ深いほど、白日の下に晒され、大自然に帰す
ものがマーラーの「大地の歌」である。
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by stavgozint | 2008-10-14 06:58 | 「青頭巾」
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