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「青頭巾」展開部其の一

山院人とどまらねば、楼門は荊棘おひかかり、経閣もむなしく苔蒸しぬ。
蜘網をむすびて諸仏を繋ぎ、燕子の糞護摩の牀をうづみ、方丈廊房すべ
て物すざましく荒れはてぬ。
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ここから快庵禅師は、阿闍梨のいる寺に辿り着いた。阿闍梨が鬼となっ
て、寺の荒れようを表しているのだが「蜘網をむすびて諸仏を繋ぎ、」
という表現に心を惹かれてしまった…。

いろいろな小説を読むと、蜘蛛の巣を張っている情景描写がよくあるが、
大抵の場合、蜘蛛の巣が張られる事により、不気味さを醸し出す表現が
殆どの気がする。しかし、この上田秋成の表現は、今までの蜘蛛の巣の
表現を打ち払うかのように美しさを感じる…。
by stavgozint | 2008-07-23 12:35 | 「青頭巾」
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